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【投稿作品】それぞれのラストシーン

たかしんに氏たこ氏あさぎり氏第9幕&あさぎり氏第10幕猫野丸太丸氏 ・うさ氏英明氏フレッシュイア氏

  

 GTO.another     強制肉体交換?別章

あさぎり



第十幕


翌日の昼休みアタシ達はオヤジの会社の入っている 雑居ビルのテラスにいた。

「この会社はすげぇ条件が悪くてどうしようも無かったんだが 女子社員の制服だけは可愛くてなぁ?。 まさか俺が着れるとは思わなかったけどな。 うふふふふふっ。・・・・可愛いなぁ、俺。」

手すりに寄りかかりながらオヤジはどこから手に入れたのか 女子社員の制服を満足そうに着込んでいる。
ピンク色のタイトスカートに同じ色のベスト、 それに白いブラウスに胸元のリボンを締めた 姿はくやしいけど確かに似合っていた。

「それにしても笑えるなぁ。
お前の仕事ぶりは・・・・。 なるほど他人の目にはこう写るのか。
確かにダメ人間だったんだなぁ、前の俺は、 だぁ?っはっはっはっはっはっはっ!!」

どうやら社員になりすましてアタシの仕事ぶりを 一部始終見ていたらしく煙草をふかしながらニヤニヤと 薄ら笑いを浮かべている。

「さてと、面白しれーもんも見れたし帰るとすっかな。
んじゃ、銀行で金でも下ろしてその後は・・・・・・。
楽しみだなぁ ?これからの俺の人生。
やっと俺にも「輝かしい未来」って奴を味わう事が出来るんだ! あはははははぁ?って・・・・・あら?っ!?」

思いっきり背中を反らしてのけぞったその瞬間、 錆び付いて古くなっていた手すりが壊れてしまい、 手すりに全体重を預けていたオヤジは下に落っこちていった。
アタシもあわてて下に駆け下りる。

幸い建物自体が低いのと下が芝生だった事もあり 目立った怪我もなく呼吸もしている。
ただ頭を打ったらしくいくら揺り動かしても返事がない。
アタシは急いで救急車を呼ぶとそのまま一緒に 病院に向かう事にした・・・・・・・・。

 



「ピピッ、ピピッ、ピピッ。」
時計の針はすでに午後九時を回っている。
一通りの治療を終え、オヤジが目を覚ましたのは、 あれから八時間後の事だった。

「ここはどこ?。」

「病院です・・・。」

「何でここにいるの?」

「昼間、建物の二階の手すりから落ちましたので ここに運びました。」

「私は誰?、貴方は一体・・・?。」

「貴女は前田美由紀。そして私の名は高畑康夫です。」

病院で意識を取り戻したオヤジに問われるまま、 質問に答えながらアタシは変な事に気づいた。 もしかして・・・・。

「ん?、一時的な記憶障害ですな。 まぁ、何かの弾みでまた思い出すでしょう。 幸い外傷は軽いもんですので2、3日で退院出来ます。 後は気長に回復を待つことですな。ではお大事に。」

病室にいたアタシを肉親と勘違いした医者は、 そう言い残すと足早に次の病室に行ってしまった。

(やっぱりそうなんだ。このオヤジってば手すりから 落ちたショックで記憶喪失になったんだ。)

アタシは病室のベットで不安げな顔をしたオヤジの方を 振り返って見た。
毒気の抜けたその表情は今までの様な威圧感は無く、 まるで普通の少女の様であった。
ただ壊れたリモコンをまるでお守りの様に大事に握りしめている 以外は・・・・・・・。


病院を退院してから一週間が過ぎた。
相変わらずオヤジの記憶は戻る事は無く、 その間、片時もアタシのそばを離れようとしなかった。
まるで子供が親に甘えてすがりつく様に・・・・。 アタシもそんなオヤジに今までとは違う感情を持ち始めていた。

 

(ああ、これって愛情とか、義務とか、恋愛感情とも違う。 何て言うかオヤジが本当に求めていたのは これだったのかも? そしてアタシ自身もそれを受け入れ始めている?。)

 

それからまもなく誰一人身内のいなくなった オヤジはアタシの養女として、
アタシ達は正式に「親子」になり、幾つかの季節を一緒に 向かえた・・・。
いつしかアタシはオヤジの事を「美由紀」と呼ぶようになり オヤジもまたアタシの事を
「お義父さん」と呼ぶようになっていた。
お互いまるで本当の親子の様に・・・・。

そんなある日、二十歳になったオヤジの為に アタシ達は成人式用の振り袖を買いに行った。
その帰り道、オヤジは着慣れない振り袖の裾を 踏んでしまいヨロヨロと路上へ飛び出てしまった。 そこへ車が猛スピードで迫ってくる。

「み、美由紀ぃ?!!。」

アタシは無我夢中でオヤジの方に走っていた。
自分の・・・・・アタシの身体だから?
・・・・・・・違う! そんなんじゃ無い!!

アタシは救いたかった。 ・・・・この娘を。自分の娘を。 アタシは必死でオヤジの身体を路肩に追し出すと その場に立ちすくんでしまった。

「キキキキキキィィ―!!ドンッ!!。」

その瞬間、アタシの身体は車に跳ね飛ばされた。 薄れていく意識の中で私は奇妙な満足感で一杯だった。 (あ?っ、これで死んじゃうのかな?アタシ。 でもこれで解放されるんだわ。 全ての呪縛から・・・・・・。 最後に良い事も出来たし。 パパ、ママ。アタシこれで良かったんだよね?。) 薄麗句 アスファルトの道路に叩き付けられる寸前、 最後に見たオヤジの表情は・・・・・・・・・。 笑っていた!?

(何で・・・美由紀・・・。)

アタシはオヤジの表情の意味が分からないまま、 意識を失ってしまった。

 

 

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

そしてどの位の時間が過ぎたのだろうか。
「ピコーン・・・・ピコーン」 規則的に動く機械の音でアタシは目覚めた。

(あれっ・・・ここって病院!? もしかしてアタシ助かっちゃったのかな?)

何とか現状を理解しようと身体を動かそうとするが、 ギブスみたいな物で固定されているらしく 首以外少しも動かすことが出来ない。
アタシは動くのをあきらめてもう一度眠る事にした。
薄暗い天井を見つめながらウトウトし始めた頃、 カツカツと足音を鳴らして部屋に誰か入ってきた。
暗くてよく分からなかったが、 かろうじて視界に入ってきたのは白衣の女性だった。


「それにしても面会謝絶だなんて、病院てのはいつになっても 規則、規則だな。
ま、この格好なら何の問題も無いけど。
しっかし綺麗だなぁ?俺。 こんな看護婦なら何されてもいいよなぁ。ウフフフフフ。」

窓ガラスに写る自分の姿にうっとりと見とれていた看護婦さん はおもむろに白衣の上から胸を揉み始めた。

「あっ・・・はぁ・・・・おっと、こんな事をしてる場合じゃないんだ。 楽しみは後に取っておかんとな。」

聞き覚えのあるその声にアタシは恐る恐る首を横にずらして 看護婦さんの顔を見てみる。 その顔は・・・・まさかアタシ!?

「おっと、美由紀ちゃん起こしちゃったかな?俺だよ、俺。 長い間すまんかったな。やっと記憶を思い出したよ。色々とな」

オヤジはナースキャップを整えると、 ポケットから薬品の入った注射器を取り出し 固定されているアタシの腕に刺した。

「うっ、・・・・・・・・。」

短いうめき声の後アタシは再び深い眠りについた。

 

それから3日後・・・・・。 ある斎場で葬儀がしめやかに行われた。

遺体の名は「高畑 康夫」 死因は車に跳ねられたことによる全身骨折及び心臓麻痺 だった。

そして告別式、火葬場を済ませた後、 警察の車で自宅マンションへ送られる喪服を着た一人の女性。
「前田 美由紀」亡くなった彼の養女だ。

「それにしても大変だったね。ご両親に続いて お義父さんまで・・・・・。幸い犯人もすぐ捕まったし、 保険金も当面の生活に困らないくらい沢山入ってくるし・・ ・・・と、とこんな事言うのは遺族に対して失礼だな。 申し訳ないっ!!。」

「気にしないで下さい。刑事さん。もう、大丈夫です。 アタシももう成人だし、自分一人で頑張ってみます。 死んでしまったパパやママそれに今まで面倒を見てくれていた あの人の為にも。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

その後、無言のまま車は走り続けた。
しばらくして女性のマンションの前に到着すると、 車を降り部屋に向かう女性と刑事。 骨壺を抱えるその目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


「じゃ何かあったらもよりの警察にすぐ連絡しなさい くれぐれも気を落とさない様に・・・・では失礼っ。」

「有り難う御座います。刑事さん、それじゃ。」


軽く会釈をして玄関のドアを閉めると厳重に鍵を閉めた。

「ふぅ?っ。全く面倒くさかったなぁ。」

先程まで大事に抱えていた骨壺を放り投げ、 喪服を乱暴に脱ぎ捨てると下着姿のまま彼女は 冷蔵庫の中からビールを取り出すと一気に飲み干した。

「くっくっくっくっ・・・あっはっはっはっはっはっはっ・・・・・ だぁ?っはっはっはっはっはっはっはっ!! なかなかの名演技だな俺も。
これで一生遊んで暮らせるだけの金と若い身体を手に入れた って訳だ。
後は変な家族ごっこで説教たれやがった美由紀ちゃんに お仕置きするだけだな。
一人で自己満足に浸りながら死んでくなんてさせないよ。
お前の言う「不幸」と俺の「不幸」のレベルの違いを、 思い知らせてやるまではな。
こんなもんで終わらせてたまるかよ。 美由紀ちゃん。
お前には絶望のまだ先をたぁ?っぷりと 味わってもらわんとなぁ。 今度は何が良いかなぁ? また小汚ねぇ中年オヤジってのも芸がないしなぁ。
そうだ!ホームレスってのも捨てがたいしな。
それとも動物ってのもいいなぁ。
豚とかよ、ブヒブヒブヒブヒ言いながらよぅ!! ハハハハハヒヒヒヒフェヘヘヘェヘヘ?!!」

 

 

そう言うと部屋の隅にある引き出しを開ける。
本来、衣類が入っているべきその場所には、
透明なガラスケースがあり、
その中にはホルマリン液に浸かった脳味噌が
ぷかぷかと まるで行き先を失った難破船の様に、
漂っていた。


あたし 終わり

【終わり・・・・・・?】

 

 

 

【あとがき】 どうもあさぎりです。 何かすごいダークになっちゃって自分でも驚いてます(^^;) 実は個人的に大変ショックな出来事があり、一時期 執筆活動自体を止めようと思っていたのですが、 みんみんさんのサイトでこの様なすごい企画を見つけて、 思わず参加しちゃいました。(笑) ジョーカーさんの作品の続きを書くのは恐れ多いのですが、 私なりのありったけの気持ちを込めて書きました。 大変だったけどすげぇ面白かったです。 以上、あさぎりでした。

 

 

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